平岡陽明さんの『イシマル書房 編集部』を読みました。主人公の満島絢子は神保町の小さな出版社へ社会人インターンとして採用されますが、その小さな出版社は存続の危機に瀕していました。さて、無事に会社は生き延びることができるのでしょうか。
出版業界は大変なのだと思うものの、図書館で本を借りてばかりいる身。いっぱい感動をもらっているのに、全然お返ししていません。今後も本を楽しみたいのなら、本の未来へ投資すべきだよなとちょっと反省しています。
この作品で、編集者の役割について、次のセリフがあります。
「編集者の役割って産婆に喩えられることが多いけど、言い得て妙だな。いま島津は胸中に作品の種子を孕んだ。あとはそこに手足が生え、目鼻だちが整ってくるのを待つんだ。出産スケジュールを横目で睨みつつね。もちろん定期健診はおこなうよ。作品が逆子になってないか。作家がマタニティ・ブルーになってないか。おりおりに診ていく」
なるほどなぁと思ったのですが、これって自分にとっては理想の上司とかメンターかもしれないなと思いました。任せるところはしっかり任せて、サポートすべきところは抜かりなくサポートする。そして、なにより安心感がある。
その他に素敵だなと思ったのは、主人公の祖父である活版職人のセリフ、
「私らは活字を拾うとき、心の中で文章を音読しています。無学な職人なりに、心地よく感じるリズムってもんがあるんですよ。あの原稿にはそれがありました」
私は文字を扱う仕事をしているわけではないし、良し悪しが分かるわけでもないですが、自分の感性は大事にしたいなと思いました。
そしてもう1つ、編集者の言葉として出てくる小説の定義
「根も葉もある嘘をつき、作品に生命を吹き込んで、読者の心を揺さぶるもの」
とあるのですが、実はこの言葉は著者がある方から言われた言葉。誰の言葉かは「あとがき」に書いてあります。
本日でブログ100日目となりました。毎日、記事を1つ投稿していたので、この記事が100個目になります。今後もお付き合いいただけると嬉しいです。