名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん 秋とポタージュ』を読みました。シリーズ第3弾です。ちなみに次の最終巻を今読んでいるところです。「本は生き物です。たとえ同じ作家が同じテーマを同じ文体で書いたとしても、執筆時期や精神状態が違えばまったく違う作品になると、私は思っています。だから、いくつかの作品だけで、その作家と作品すべてを悟った気になるのは、もったいないんです」とありましたので、食わず嫌いをせずに、様々な本を読みたいと思います。
今回、それぞれのお話にメインで出てくる作品はこちら。
・第1話:太宰治『誰も知らぬ』
・第3話:茨木のり子『歳月』『自分の感受性くらい』
・第4話:藤野恵美『ハルさん』
今回は、読んだことのあるものが1冊もありませんでした。それでも十分楽しめますが、『ノルウェイの森』も読んでないの?と思われそうですね。
第4話は、同じ本でも単行本と文庫本でちょっと違うところがポイントとなっているのですが(少しネタバレですみません)、私自身は文庫本の解説を読むのもちょっとした楽しみの1つです。
第3話と第4話はそれぞれ、ある親子についてのお話しです。第4話のなかにある「その笑い方は少女のようで、はじめから親として生まれてきた人間なんて一人もいないのだという、当たり前の事実にふいに気づく。」という文章が、すとんっと落ちました。当たり前と言えば当たり前なのですが、自分の親や祖父母に対しては、何故か、もとから親もしくは祖父母だったという風に思ってしまうところがあります。
ちなみに『金曜日の本屋さん』というタイトルながら、ようやくシリーズ第3弾にして、金曜日に記事を書くことができました。