すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『フルタイムライフ』

柴崎友香さんの『フルタイムライフ』を読みました。この本を手に取ったのは、表紙のイラストがかわいいなと思ったからです。主人公は、美大を出て、機械の会社に就職。5月から2月までの10ヶ月が綴られています。

 

もう何年も前のことなので、すっかり忘れていましたが、新入社員の頃を思い出しました。4月はずっと研修だったので、こんなんでお金もらっていいのかなって思ったりしたなぁとか、何かをやろうにも自分一人で完結することはなく、こんなことお願いしていいのかなぁと思ったり。大学までは、周りはほとんど同年代の人ばかりだったから、親と同じぐらいの年齢の人と何を話していいか分からなかったなぁとか。

以前、友人と居酒屋に行ったときのこと。ちょうどお盆休みの頃で、お店には私たちのほかには、4人ぐらいのサラリーマンのグループがいただけだったので、彼らの話がよく聞こえました。どうやら新入社員の頃の思い出話のようで、「資料読んでると眠くなってくるんだよね。で、先輩にコピー頼まれると、嬉しかったもん。先輩は「雑用でごめんね」って感じだったけど、むしろありがたかったんだよね。」というのを聞いて、わかる!わかる!って共感していました。ちなみに、この本の出だしでは、主人公はひたすらシュレッダーをかけています。

きっとこの作品も、かつて新入社員だった方には共感するところが多いのではないかと思います。職種や業種で違うとは思いますが、それでもどこかしら登場人物に共感するところがあるんじゃなかなと思います。

この本の中で心にすとんっと入った文章は、

「会社に行って仕事をして、毎月給料ももらってボーナスももらえて、どれでもなんでもっていうわけじゃないけど好きな服も買えるし、イギリスに旅行に行こうかとも思っている。それはとてもいいことだと、たぶんわたしは知っている。必要なのは、なにかするべきことがあるときに、それをすることができる自分になることだと思う。」

もう新入社員のあの頃から何年も経っているから、仕事に対する考え方も、プライベートとのバランスについても、変わってきていると思うけど、その時々の気持ちは、確かに私がそう感じたことであって、なんとなく愛おしく思います。