すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

ふるさと

私の小学生の頃のお話です。

私の通った小学校は全校生徒が60人ぐらいの小さな学校でしたので、校長先生も全校生徒の顔と名前が一致するアットホームなところでした。

ある時、校長先生が女性の方で、その当時としてはまだ珍しかったのではないかと思います。その校長先生のことをみんな大好きでした。校長室が中庭に面していたため、昼休みなどに数人で、中庭から窓越しに校長先生とよくお話しました。

ある日のこと、いつものように窓越しにお話していたときに、校長先生が「手を触っただけで、目をつぶっても、誰の手か分かるよ」とおっしゃいました。私も含め、みんな本当に見なくても分かるのか信じられない様子でしたが、先生は見事、その場にいた全員を当ててくれました。当時の私は、とても大人しくて目立たない子でしたので、先生に当ててもらえて、自分の存在を認めてもらえたかのように嬉しく思ったのを覚えています。

 

おそらく癌だったのだと思いますが、校長先生が病気で入院されました。そして、一時退院されて学校にいらっしゃった日がありました。体育の後で片づけがあったのか、何故か私は一人で昇降口にいたところに、「〇〇ちゃん」と声をかけられました。振り返ると、校長先生です。でも、もともと体格のよかった先生が、まるで別人のように痩せていて、びっくりしてしまいました。そのため、せっかく声をかけていただいたのに、うまく返事ができませんでした。また、驚きは顔にも表れていたと思います。その時が先生と話した最後の機会となりました。

先生が亡くなられた後、みんなで体育館でお別れ会を行いました。その時にみんなで歌ったのが、先生が好きだったという童謡の「ふるさと」。いまでも「ふるさと」を耳にすると、校長先生との思い出がよみがえり、涙が出てきます。