以前、電子書籍で買ったのだけど未だに読み終えていない本があると書きましたが、その本がこちらです。連休を利用して、読むことができました。「欠乏の行動経済学」とありますが、私も欠乏にはまっていて読めなかったのか、購入したものなので返却期限がないという余裕によって読めなかったのか、それとも両方でしょうか。
「時間がない」「お金がない」といった悩みとは無縁の方は、なかなかいないと思います。時間もしくはお金が欠乏している状態です。例えば、締め切り直前の方が、集中して頑張れるんだよね、ということはあるかと思います。これは欠乏によって生まれる集中ボーナスと言われるもので、欠乏にもメリットがあります。でも、目の前のことに集中するかわりに、その他のことはおろそかになります。これを「トンネリング」と表現しています。例えば、消防士が通報を受けて現場に急いでいる(時間の欠乏にある)とき、いかに短時間で準備を整えて現場に到着するかに集中し、大きな集中ボーナスを得ているわけですが、その他のこと、ここではシートベルトをすることがトンネルの外にあり、無視されます。そして、現場に向かう途中、消防車が急ハンドルを切った際に、ドアが開いて、転がり落ちて頭を強く打ち、2日後に亡くなった消防士の例が紹介されています。消防士の死因として、心臓発作の次に交通事故が多いとする推定もあるそうです。また、欠乏によって、処理能力の低下も起こります。そうなると、うまく対処ができませんので、さらに欠乏を招くことになります。大事なのは、スラック(余裕、ゆとり)を持つことです。もちろん、締め切りがだいぶ先だと、だらだらしてしまうように、スラックにもデメリットはありますので、リマインダーなどをうまく活用するのが好ましいようです。
この本を読んで、とても勉強になったと思うので、また読み返したいなと思います。ただ、一番残念だと思うことは、欠乏の罠にはまっている状態では、おそらくこの本を読む余裕がないだろうということ。たとえこの本を渡されたところで、心が別のことで占領されていれば、それどころではないでしょう。それでもこれが4コマ漫画とかで、エッセンスを何回かにわけて伝えてくれたら、取っ付きやすいんじゃないかと思います。(システムの工夫が大事だということも本書に書かれています。)
ご興味をもたれた方は、ぜひ読んでみてください。