すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『喋々喃々』

小川糸さんの『喋々喃々』を読みました。主人公の女性は、谷中でアンティークきもの店を営んでいます。ある日のこと、父親に似た声の男性客が訪れます。その男性は春一番の吹いた日に生まれ、笑うと目じりに三本線の皺ができる、左手の薬指に結婚指輪をはめている人でした。ふたりの距離が少しずつ近づいていくのですが、一緒にはなれない仲です。とはいえ、ドロドロした感じではなく、穏やかに物語が進んでいきます。新春からの1年の月日が、丁寧に過ぎてゆくように感じます。

「星って、どうして美しいか知ってる?」

「闇があるからだと思うんだ」

「闇が濃ければ濃いほど、星ってきれいに見えるんだよ。だって、昼間だって、本当は星が輝いているんだから」

「嫌なこととか苦しいこととかって、人生の中では、俺、闇の部分だと思うんだ」

「でも、そういうのがなかったら、いいことっていうかうれしいこととか楽しいこととか幸せなこととか、光らないんじゃないかなぁ。ずーっと人生が真昼の明るさだったら、星の存在にも気づけないんじゃないかって、最近よく星見てて思うんだよ」

 

という台詞があります(一部省略しています)。私の場合、平日があるからこそ、休日がありがたいとか、悪役がいるから、ヒーローが輝くとか、そんな例えをしてしまいそうですが、闇の中にあるきれいな星に例えられると、より一層、心に響くなぁと思いました。

主人公は、母親の影響でユーミンが好きなのですが、私も母の影響でユーミンが好きですし、竹内まりやさんや中島みゆきさんも好きです。この作品を読んでいて、頭に浮かんだのは、竹内まりやさんの『純愛ラプソディ』。♪過去にやきもち焼いたって戻せない時までは♪というフレーズが、何度も頭をよぎりました。中島みゆきさんの『時代』にあるように、♪あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ♪ と、いつの日かなるかもしれませんし、そうなって欲しいと思います。それでも、恋愛に限らず、やはりその“まっただ中”にいるときは、辛いよね、と思います。

ちなみに作品中では、ユーミンの曲名は出てきませんが、どの曲なのかは読むとわかると思います。私にとっては、3年ぐらい前にピアノで練習していた曲でした。