すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『松平家のおかたづけ』

著者は讃岐国高松藩松平家の末裔です。松平家の家風には、贅沢を控え、慎ましく暮らすことで、物事の本質が見えてくるという教えがあるそうです。本書は著者が生まれ育った松平家の教え、なかでも祖母、松平俊子さんから受け継いだ心得について紹介しています。松平俊子さんは、大正末期から戦前にかけて、社会事業家として活躍し、戦後は昭和女子大学の前身、日本女子高等学院の校長に招かれ、女子教育にも真摯に取り組んだ女性だそうです。本書では、空間、時間、もの、お金、人づきあいのそれぞれのおかたづけについて心得が書いてあります。

 

松平家では、過去を振り返ることよりも、これからどう生きるかを大切にするそうです。そして、毎年暮れの29日には、持ちものの点検をするそうです。持ちものをすべて並べて、いるもの、いらないものに振り分けるそうで、年を越すためには必ずしなくてはいけなのだそうです。著者は小学2年生の時、誤ってまだ学校で使う国語の教科書をいらないものに振り分けてしまったそうです。気が付いたのは年が明けて新学期が始まる前。授業で先生に聞かれ、「忘れました」と答えたのですが、何回か続いたあと、先生が家に電話をかけてきました。電話に応対したお母様は「教科書は、処分しました。うちの娘は、いらないと言ったのです。だから先生、教科書を暗記するように言ってください。本人の責任でしたことだから仕方がありません。」と言ったそうです。先生は、それはあまりに厳しいとのことで、お母様には内緒ですよと教科書をくれたそうです。いつか使うかもと思って、なかなか手放せなかったり、以前手放したものが後で必要になったことがあると、なかなかものは手放せないかもしれません。著者は「後悔が人を強くします。後悔は財産、成長するために、後悔はあるのです」と言っています。

そして、同じくものについてですが、「もらいものは、もらった瞬間がもののピーク」だそうです。

ものをもらったら、その場で、すぐ相手によろこびを伝えることが礼儀です。

贈る側は、ものに相手への好意や感謝の気持ちを込めています。受け取る側もその気づかいにすぐ反応することで、互いの想いを共有することができます。

ものは、贈る側と受け取る側の心を結びつけることで、十分に役目を果たしたことになります。そこからさらに、毎日の生活に持ち込んで感謝しつづけなくてもいいのです。

私の場合、以前は何かものをもらった時、もったいなくてなかなか使えないということがありました。また、もらったけれど、使わないなぁというものも、もらったからと同じようにとっておいていました。今は、ものは使ってこそ価値があると思っているので、すぐ使う、もしくは自分が使わない場合は、必要とされるところへもっていくようにしています。

最後に著者の祖母のエピソードを紹介します。41歳の時に親善使節として訪れた当時の満州で、現地の日本人に向けた講演で、次のように語ったそうです。

「昔、中国の高僧たちが、インドへ仏法を求める旅に出たとき、砂漠のなかで白骨を道しるべにしたと言います。そして自らも白骨の道しるべとなる覚悟で命をかけて道を求めたのです。

私もこの尊い心を自らのものとするよう毎日努めております。たとえこの身が白骨となり果てようとも、それが後に続く皆様方の道しるべとなるなら、よろこんでこの身を捧げます」

そのような方からの教えを直接ではなく、本を通してではありますが、触れることが出来るのは、ありがたいものですね。