すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『トモシビ』

千葉は私にとって、地元に次いで2番目に長く住んでいる場所になります。今回の本も図書館で借りた本ですが、背表紙に小さく「銚子電鉄の小さな奇蹟」と書いてあるのが気になって、手に取りました。銚子電鉄に乗ったことはまだないのですが、千葉に住んで何年も経ちますので、もちろん名前は知っていて、ぬれ煎餅も好きです。背表紙だけだとわからないですが、手に取ってみたら、表紙の絵がとてもいいなと思いました。

 

銚子電鉄を舞台に3つの物語が収録されているのですが、それぞれの物語の登場人物がリンクするところがあって面白いなと思いました。その中でも私がいいなと思ったのは、2つ目のお話です。一人息子は家を離れて、夫婦二人で暮らしているのですが、喧嘩はないものの、仲がいいというより、お互い見ているところが違う感じ。夫の佐崎は、父親が鉄道員で、自分も父親のようになりたかったのに、なぜ鉄道員にならなかったのだろうとくすぶっています。妻の清美は専業主婦で夕飯を作ることだけが生きがいのよう。3つの作品のいずれも電車翁が出てくるのですが、この作品での電車翁のセリフがいいなと思いました。

伴侶の伴という字は人の半分と書くのですよ。

互いに同等の役割があり、互いができないことを補う関係という意味です。二人いて、初めて一人になるということなんですね。

 その後、清美の言葉を聞いて、佐崎は清美も自分と同じような感覚をもっていたことに気づきます。

妻が何を考えているのかなんてわからなかった。ましてや他人が何を考えているのかも興味がなかった。佐崎は妻を見た。妻はまだ考えているようにバッグの持ち手を弄んでいる。

案外、みんな同じなのかもしれない。自分だけは違うと思っていたのは、自分の思い上がりに過ぎないのかもしれない。誰もが皆、自分のいる場所さえわからなくて漠然とした不安を抱えながら、無理に目を背けて、日々迷い続けている。

 無意識のうちに自分はこんなはずじゃないと思ってしまっているところは、私にもあると思うので、途中までは佐崎がなんとなく自分と重なるようで嫌でもあったのですが、口にしないだけで、みんな似たようなことを考えているかもしれないと、少し客観的に自分や周りを考えられた気がしました。