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本棚:『ファースト・エンジン』

岩見沢原動機は、発電プラント用タービン、ロケットのエンジンから自動車用のターボチャージャーまで、様々な製品を手掛ける総合メーカー。特に航空機用ジェットエンジンのシェアは、国内に限っては他社を大きく引き離し、ほぼ独占状態。長年にわたり、航空自衛隊の戦闘機に搭載される海外製エンジンのライセンス生産を行ってきたが、超音速飛行に不可欠のアフターバーナーを独自に開発することはなかった。そんな中、地道にアフターバーナー機構の研究を続けていたのが本庄をリーダーとする「超音速エンジンプロジェクト」。国産初のアフターバーナーの最終の燃焼試験において、試験終了直前に爆発が生じ、若手技術者が死亡。本庄は左遷され、プロジェクトは中止となる。なぜ爆発事故は起こったのか。

 

物語のはじめは、アフターバーナーの最終試験において、爆発が起こり、若手技術者が死亡する場面です。そのあと、この亡くなった若手技術者がどんな人物で、あの爆発までの経緯が描かれています。プロジェクトマネージャーとしてやってきたのは、それまでライセンス生産にいた人物。プロマネという立場でありながら、数々の妨害工作を仕掛けます。そして、亡くなった若手技術者の父親は、自動車部品メーカーに勤める、モノづくり一筋のエンジニア。息子がなくなった後に訪れたプロマネの話を聞いて、真実は別のところにあると考え、その後に訪れた本庄に求めたのは、事故の真相の究明とアフターバーナー付きのエンジンを完成させ、それを載せた飛行機を飛ばすこと、それが技術者としての責任の取り方じゃないかと言います。

若手技術者の父親が、真実は別のところにあると思ったのは、息子から仕事の話を聞いていたことによるところが大きいと思いますが、分野は違っても同じエンジニアだったからというのもあると思います。エンジニアでなくとも、科学技術に関する素養は必要だろうなと思いました(エセ科学に騙されないためにも)。

また、何か新しいことを始めようとした場合、歴史があって、大所帯であるほど、一番の敵は組織内にいるのではないかなと思いました。どうせうまくいかないだろうという否定や、注目を浴びていることへの僻みなど、いろいろあるでしょうが、同じ組織なのに悲しいことだと思います。尊敬する上司、信頼できる同僚、同じ方向を目指している組織で働けることは、なんと幸せなことでしょう。

昨今、企業運営の常套句になっている「コスト管理」や「作業の合理化」は、未知のものを探る「研究」や新しいものを造る「開発」とは必ずしも相容れない。

新しくモノを造る時、苦労せずに正しい答えが見つかることはめったにない。何度も計算、設計、試験あるいは試作を繰り返す、いわゆるトライアンドエラーによって徐々に目標に近づけていくのが普通だ。だが研究開発に関わったことがないものには、その行為は非合理的でとてつもなく要領が悪く見えるだろう。