すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『行きたくない』

6人の作家によるアンソロジーです。順に、加藤シゲアキさん、阿川せんりさん、渡辺優さん、小嶋陽太郎さん、奥田亜希子さん、住野よるさん。

 

「行きたくない」ことは、結構あります。学校や会社が行きたくないときは、有島武郎の『一房の葡萄』を思い出して、とりあえず行くだけでいいからとハードルを下げて、重い腰をあげます。だから、「行きたくない」ってすごいネガティブな感情で、好ましくないものだというイメージがあります。この本に収録されている作品も、もや~っと暗いとまではいかなくとも、気分は低空飛行な感じがするものが多いです。

そんな中、渡辺優さんの『ピンポンツリースポンジ』で、「行きたくない」に対する印象がちょっと変わりました。作品の中では、一人一人がロボットを持っているような世の中。ある日、主人公が朝、会社に行こうとして、「出かけるよ」とロボに声をかけると、「行きたくありません」とエラー表示。いろいろなことがロボまかせですから、一人で会社にも行けません。そこで、社長が迎えに来てくれて、修理のためにロボ屋に向かいます。そこで待っている間の社長のセリフ

「行きたくないって、なかなか高度な感覚だよな」

「行った先で起こる出来事を予想しての拒否だろ、過去の経験から学習して、未来の危険とか恐怖とか不快とかを予知しているわけだ」

そういわれてみれば、そうだなぁと思いました。その「行きたくない」にどう対処するかは人それぞれではありますが、「行きたくない」が全く悪い感情っていうわけでもないな、なんて思いました。今度「行きたくない」って思ったとき、『一房の葡萄』とともに、この『ピンポンツリースポンジ』も思い出すんじゃないかと思います。