すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『キッズタクシー』

キッズタクシー』というタイトルと表紙の色から、青空が似合うような爽やかな感じのお話なのかなと思いましたが、裏表紙のあらすじを読んで、そうではないとわかります。

タクシードライバーの千春には、正当防衛で人を死なせた過去があった。ある日、千春のタクシーを予約していた小学生が失踪する。その後少年の行方は判明したが、千春の過去に関連付づた噂が流れたため後味の悪さを残していた。さらに彼女の周りでは、不穏な出来事が相次ぐ。一体誰の、どんな思惑があるのか。

この本のテーマの1つは親子関係です。子供の人生は、どうしても親の生き方に振り回されるところがあって、それは親の車に乗っているようなもので、ただ乗っているしかないこともあります。初めて免許を取って、人を乗せて運転したときには、その人の命を預かることだと思いました(あの時ほどではないですが、今でもそう思います)。一方、自分が人の車に乗せてもらっている時には、そのようなことは思わないのですが(自分の運転が一番信用できないんで)。田舎だったので、子供の頃は、どこへ行くのも、親の車が頼りでした。そして、親の運転する車に安心して乗っていました。しかし、自分でも運転できるようになり、また、親も年をとるにつれ、いつまで運転させていいのだろうかと考えるようになりました。親子で、ハンドルを握る立場が、いつの間にか逆転してしまうんだなぁ、と本書の本筋からは外れますが、そんなことを思ったり。

小説の中で、メインのストーリーとは関係のないところでも、心惹かれたり、はっとさせられる文章に出会えるのが嬉しいです。本作でいいなと思ったのが、以下の文章。

以前本人が言っていたのだが、幾之介さんは若い頃、その日の売り上げをつかんでは繁華街へ走った。女のところに入り浸って帰らなかった時期もある。大学に進学したかったのだが、家の事情でそれができず、鬱積した不満が爆発したらしい。勉強なんて一生できるのに馬鹿だねえ、と微笑み、最後にこう言った。

酒、女、博打。いろいろやったがつまらんね。飽きちゃって。その点、勉強はいい。面白くてかなわんよ。

 

キッズタクシー (文春文庫)

キッズタクシー (文春文庫)