すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『笹の舟で海をわたる』

何ものにもなれない人間のほうが圧倒的に多い。何ものにもなれないということは、べつに悪いことじゃない。力もないのに、何ものかになろうとあがくほうがみっともない

佐織は給料日の帰り、銀座のデパートに寄った際、きれいな女性から声をかけられます。その女性は風美子といい、疎開中に佐織にとてもよくしてもらったのだと言います。やがて、佐織は風美子と仲良くなり、さらに風美子は佐織の義理の妹となります。しかし、佐織は疎開中の風美子を覚えていませんし、そもそも疎開中は食べ物はろくになく、いじめもあって、いい思い出はなく、思い出したくない過去です。どうして風美子はこんなにも自分の近くにいるのか。

久々の長編小説です。そのため、読み終えるのにだいぶ時間がかかってしまいましたが、読み応えがあってよかったです。本書のテーマとは異なるかもしれませんが、コロナウイルスによる感染拡大防止のため外出自粛となった時、これが戦争が原因で外に出られないのであれば、とても腹立たしいけれど、ウイルスや疫病だったら仕方ないなと思いました。戦時中に比べれば、どんなにか平和で、これぐらいの我慢は大したことないのではないかと…。しかし、何をどう思うかは、その人の自由で、自分の考えを他人に押し付けてはいけないなと思いました。少なくとも、若い人に対して、自分の時はこうだったなどということは言うまいと。悩みは人それぞれで、他人と悩みの大きさを比べるものではないのでしょう。そして、時代で比べるものでもないのでしょう。以前、父が酔ったときに、ちゃんと働いて子ども2人、大学まで行かせたんだから…みたいな話をしたときに、母が「今の時代は、今の時代で大変だと思うよ」と言った時、なんか涙が出そうでした。

佐織が実の娘と不仲なのが、私はずっと気になってしまったのですが、親子とはいえ、そういうこともあるでしょう。実家に帰れるのはいつになるかわからないけれど、できるだけ親に顔を見せるようにしたいなと思いました。