芸人 内海桂子さんが90歳の時に出した本です。本書はTwitterでのつぶやきと梅佳代さんによる写真がメインです。都々逸もたくさんあって楽しいです。例えば最初にある都々逸が
酒は一合 ごはんは二膳 夜中に三回お手洗い 四の五の言ってる 暇はない 百までたったの12年
ちなみに本書も『図書室のバシラドール』の中で出てきた本です。
数えの10歳で蕎麦屋に奉公に出たけれど、2年くらいで戻されて、母親から何か習った方がいいと言われ、踊りと三味線を習いはじめたのが12歳の頃。その後、知り合いの芸人さんに頼まれて、代役として舞台に出て以来、16歳の頃から漫才で稼いでいたそうです。
以前は「若いころの苦労は買ってでもしろ」とよく聞いたけれど、最近はあまり聞かなくなりました(「サザエさん」の中で波平さんが言うぐらい?)。人生をもう一度やり直せるとしたら、やっておけばよかったなと思うことの1つが、学生の頃のアルバイト。大学生協での棚卸しのお手伝い(半日)や高校の模試(河合塾&進研模試)の採点などの単発のアルバイトはしたことがあるのですが、一定の期間 継続して働いたという経験はありません。いまだに憧れる本屋さんも、あの頃は「私に客商売は無理」とか「のんびりしていたい」とか、できない理由ばかりをならべて、何も行動を起こしませんでした。働くってこういうこと、みたいな感覚が、社会人になってはじめて働く前にあったらよかったなぁと思うのです。
本書を読んで、他人や世間に言われてどうこうではなくて、自分を持っている人は強いなということと、手に職を持っている、一生できる仕事がある、生涯現役はいいなと思いました。