すっきりした部屋であまりゴミを出さずに暮らしたい

暮らしは小さくてもすっきりと、心はゴチャゴチャしてても大らかに

本棚:『シェアハウスかざみどり』

大学4年生の風間晴生は、良くも悪くも正直で、空気が読めないというか、言わなくてもいいことまで言ってしまう性格が災いして、なかなか就職先が決まりません。そんな中、不動産屋に提示された好条件の物件。それは「シェアハウスおためしキャンペーン」というもので、丘の上に建つ手入れの行き届いた由緒ある洋館にクリスマスまで住むことができ、月に1度、シェアハウスの暮らしや住み心地に関するレポートを提出するだけで、家賃だけでなく引っ越し費用や光熱費まで不動産屋が負担するというもの。さて、そのシェアハウスにはすでに3人の男女が住んでいたのですが、いずれも晴生より年配。一方の管理人の男性は、青年というには顔つきが幼く、まだ発育途中の少年のように見えます。そして、住人たちはそれぞれ悩みを抱えていて…。

 

シェアハウスの住人の一人は、70歳に手が届く年齢の女性、暢子。このシェアハウスでは毎週水曜の晩に食事会があり、住人持ち回りで夕食当番があります。お嬢様育ちの暢子は、料理や掃除、洗濯といった家事をこれまでやらずにきました。そのため、はじめての食事当番で作ったのは、ル・クルーゼの鍋1つ。中身は大量のインスタントラーメンに具はつながった輪切りのネギのみ、麺はふやけて伸びていました。

私も料理は苦手だけれど、さすがにこれほどまではひどくないぞ…と、暢子に対してはじめはイライラしてしまったのですが、だんだん彼女を愛おしく思うようになりました。それは、彼女の過去を知ったから。人だけでなく、いろいろな物事についてもそうなのでしょうが、見えているのはわずかな側面だけで、その裏に隠されたものを知ると簡単に良し悪しとか好き嫌いを判断できないんだなと思いました。

古き良き日本というか、昭和を感じる建物に住んだことはありますが、さすがに洋館はないので(しかも本物!)、私もこんなキャンペーンがあれば、ぜひ参加したいです。が、残念ながら、それは無理なんだなということが後の方でわかります。

 

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