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本棚:『そこに工場があるかぎり』

11月は勤労感謝の日があるからでしょうか。図書館の特設コーナーにさまざまな仕事についての本がありまして、そこで見つけたのが本書。大人になってからは工場見学に行く機会は自分で作らないとないですが、大人になってからの方が、工場見学に行きたい!と思うようになりました。大人になってから行った工場見学と言えば、会社の組合のイベントでサッポロビール工場に行ったぐらい。工場の話にも興味がありますが、『博士の愛した数式』の小川洋子さんが、工場見学をどのように書かれているのかも興味がわきました。

 

本書に登場するのは、金属に細い穴をあける株式会社エストロラボ〈屋号 細穴屋〉、グリコの菓子工場見学施設のグリコピア神戸、ボートをつくる桑野造船株式会社、乳母車や介護用品をつくる五十畑工業株式会社、職人の手作業によってしか実現できないガラス加工製品をつくっている山口硝子製作所、子供のころにみんなお世話になった鉛筆をつくる北星鉛筆株式会社の6つ。

近所に保育園があるので、数人の子どもたちが立ったまま乗っている大型の乳母車というか、カートというか、たまに見かけますが、サンポカーという名前だと初めて知りました。そして、グリコの「おまけ」ではなく、「グリコのおもちゃ」が正しいということ。江崎グリコの創業者、江崎利一氏は「食べることと遊ぶことは子どもの二大天職である」との考え方を提唱していたそう。

一番グッときたのは身を削り奉仕する鉛筆の話。北星鉛筆では、芯の折れない削り器634(むさし)を開発、販売しているそうですが、世の中にはよくない削り器もたくさんあるそう。いい鉛筆であっても、芯が折れるのを鉛筆のせいにされてしまうことも…。また、電動でバーッと削ってしまえば、無駄に短くなるばかり。一方、634は、中が見えるようになっていて、自分が必要な分だけ削れるので、無駄がなく、鉛筆が長持ちするそうです。せっかく作った鉛筆を、長く大事に使ってもらおうと、634を作ったそう。

大学の頃、企業の研究の話の例で、シャンプーボトルで一回あたりの量をちょっと増やすことで、たくさん使われて、売り上げに貢献する…みたいな話を聞いて、そんな研究イヤだな…と思ったのが忘れられません。たくさん使わせて儲ける…というのが、どうも嫌。一方、鉛筆を長く大事に使ってもらいたい、というのは、作っているものへの愛を感じますし、使う側としても、大事に使いたいと思います。

また、北星鉛筆では鉛筆供養というものを行っています。子どものころ、短くなった鉛筆をどこまで使えるか…なんて、やっていたなぁと思い出すとともに、シャーペンやボールペンでは、そういうのないな…と。長く大事に使ったものは、魂がこもって、なかなか捨てられない、というのは、科学的にはナンセンスなのかもしれませんが、そういう考え方、私は好きです。