明治・大正・昭和と女子教育に奔走した河井道。そして、彼女を支えた人たち。提灯と街灯の違い、シェアの精神とは?
学生の頃、教科書や便覧で見かけた人物もたくさん出てきます。歴史に疎い私は、新渡戸稲造といえば五千円札のイメージですが、素敵な人だったんだなぁと。一方、有島武郎のイメージはというと…。なんだか、朝ドラを見ているような感じで、戦時中のところは読んでいて辛いですが、多くの女性に読んで欲しいなと思いました(けっこうボリュームがありますが)。
今では当たり前のことがそうではなかった時代。かつて女性は富士山に登れなかったとは知りませんでした。過去を振り返って、あれこれ言うのは簡単ですが、今とは違う常識の中で自分の信じる道を進むことができるだろうか…。
いつの時代も、誰だって未来はわからないということ。その中で必死に生きているということ。宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』を読んで、強く印象に残ったことを思い出しました。
女性も大学に行くのが普通で、好きなことを自由に言っても咎められない時代を生きられることは、ありがたいと思います。以前読んだアンソロジー『X'mas Stories』の中の三浦しをんさんの話も思い出しました。
でも、本書にあるシェアの精神は、日本ではまだまだなんじゃないかなと思うとともに、それを今から百年近くも前に実践していたというのはすごいなと思います。