シリーズ第三弾。第二弾にあった話のその後がわかり、これまでは名刺とか小さいものばかりだったけれど、あぁ、ちゃんと活版印刷の本ができたんだなぁと嬉しくなりました。しかし、あの大きな装置は動かせなかったのか…とちょっと残念なところは、次への展開が見えてきて、この次も楽しみです。
長い間使われてきた道具って、美しいなと思うのですが、それは見て眺めるためのものなのではなく、あくまで実用品だと思います。今ほしいなと思っているのが箒なのですが、眺めてうっとりするような機能美のものが欲しいと思っているけど、あくまで掃除する道具として欲しい。インテリアとして部屋に飾る目的ではなくて。
昔のものが今となってはお洒落ということはあると思いますが、もともと実用品だったものならば、当時は美術品などを意図してつくられたわけではなくて。ものとしては、それはどうなんだろうなぁ…などなど、本書を読んで思いました。
本書の中で万葉集のことがちょっと出てくるのですが、高校の教科書に載っていて好きだった短歌、調べてみたら万葉集の中のものでした。その歌とは、
多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだかなしき
授業で意味は習ったはずですが、調べてみて、あらためて、こういう意味だったんだなぁと。
心の中で思っていることも、文字にすれば形に残り、形にすれば、その後 何年も生き続けることができるんだなぁ。